昔と今とでは鍵交換の意味も違う

昔の鍵交換と言えば、例えば鍵を失くしてしまったら、その途端に我が家のセキュリティの度合いが落ちてしまうので、それを防ぐために錠前ごと交換しないといけなくなる。後で鍵が出てきて、鍵交換に何万円も支払ったのを後悔することもあるが、安全には代えられない。また、そのような場合に行う鍵交換でも、現在ではよりセキュリティ性の高い鍵を導入することもあるだろう。同じ種類の鍵に交換しただけではセキュリティレベルはそのままであるし、第一高価な金額を負担する甲斐もないというものだから。つまり、昔ながらのギザギザした鍵ならば電子ロックに鍵交換し、電子ロックならば生体認証式ロックに鍵交換するという具合である。それから、IT時代の鍵交換とは、情報通信における情報セキュリティの確保のために行われる鍵配送のことも意味する。情報通信では、例えばメールなどの電文を送付する場合でも、電文が平文のまま送付されることはなく、暗号化してからこれを送付する。この場合、平文を暗号化したり、逆に暗号化された電文を平文に戻す復号化の時にある種の鍵が用いられるから、ネットでは鍵交換が必要な場合が結構ある。暗号方式には共通鍵暗号と公開鍵暗号がある。共通鍵暗号では、暗号化と復号化に全く同一の鍵を用いるのが特徴である。共通鍵は第三者に知られると意味をなさなくなるので秘密鍵とも言うが、これを誰にも知られないように安全に鍵交換を行うことは至難の業である。一方の公開鍵暗号では、暗号化と復号化に別個の鍵を用いる。事前に送受信間で鍵交換をする必要がないので、よりセキュリティの度合いの高い通信が可能になる。受信側では、誰もが自由に使える公開鍵を公開し、暗号化はこの鍵を用いるが、復号化にこの鍵は使えない。また、復号化には絶対非公開の秘密鍵を用いる。現代では、鍵交換はむしろ上記のようなネットにおける問題になっているかのようである。IDとパスワードの情報を送ることがネット上では当たり前のように行われている今日であるが、如何に暗号化通信が行われていても、破られない暗号はないと言われるぐらいだから、鍵と錠前は永遠の問題なのかも知れない。

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